染色体の数について
染色体のしくみ
DNAが染色体という単位にまとまっている
ヒトの染色体の数は、通常全部で46本あります。
1番目から22番目までの常染色体と、1対の性染色体があります。
常染色体も対になっているので、22×2=44本の常染色体と2本の性染色体で、46本というわけです。

この染色体の正体は、DNAがぐるぐる巻きになって集まったものです。
とはいっても、適当にぐるぐる巻きにしたのでは、からまってしまいます。
毛糸や釣り糸、イヤホンのコードなどを、適当に丸めるとからまって役に立ちません。
DNAもきちんとした構造を保つために、工夫がなされています。
細長いDNAは「ヒストン」というタンパク質に巻き付きながら、連なって染色体の形になっています。

こうやって、膨大なヒトの設計図をコンパクトに間違いが少ないように詰め込んでいるのです。

そしてその細長いDNAは、さらに効率よく情報を保持するために2重らせん構造になっています。
こんなに繊細で複雑な構造が、すべての細胞ひとつひとつに含まれているのですから、染色体が一定の状態に保たれているということは、スーパーコンピューター顔負けのからくりなのです。
7番染色体の地図
ウィリアムズ症候群の象徴
「エラスチン」タンパク質を生み出す仕掛けをもった染色体
ウィリアムズ症候群という診断は、最終的に染色体の検査をして確定されます。
7番染色体の長腕にある「エラスチン」タンパク質をつくる情報を持った部分が欠損していることが確認されるとウィリアムズ症候群ということになります。
7番染色体の模式図を見てみましょう。
染色体はその名のとおり、特殊な薬品で処理するると色で染まることから、その名前がつきました。薬品の種類によって、色が染まりやすい部分と、染まりにくい部分があります。いくつかの薬品で色付けする事で、染色体には薬品に応じて反応して縞模様のように染まります。
また、染色体はセントロメア(緑の部分)と呼ばれる中心部を境に短腕(p)と長腕(q)にわかれています。
中心部から外側に向かって染め分けられた部分に順番に番号をつけることで、染色体の構造を大まかに把握する事ができます。
ウィリアムズ症候群の原因となる7番染色体の欠失部分は、長腕(q)の11の23という部分で「7q11.23」という表現をします。
これで、だいたいの位置は分かりますが、住所でいうと都道府県が分かった程度の位置です。
そこで、もっとくわしく「エラスチン」をつくる場所を特定してみましょう。
染色体がDNAの集まりだということは「1 染色体の数について」で説明しましたが、DNAは4種類の「塩基」というものが対になって2重らせん構造をつくっています。
4種類といいましたが、塩基の組み合わせは決まっていて、[アデニン+グアニン] と [チミン+シトシン]という2つの組み合わせしかありません。
この塩基の組み合わせ1つを「塩基対(bp=base pairs)」といいます。
塩基対がいくつあるかを数える事で、染色体の規模がわかりますし、何番目の塩基対と指定する事で、はっきりとしたDNA情報の位置を割り出す事ができます。
塩基対は染色体短腕の端から順番に数えていきます。あまりにも膨大な数なので、「K(キロ)bp」とか「M(メガ)bp」という単位もつかいます。
さて、「7q11.23」部分は、塩基対の位置で表すと、71.80Mbp から 77.40Mbp までの範囲となります。7180万番目から7740万番目までということです。
さらに、エラスチンタンパク質をつくる部分は[ELN]というコード名称がつけられていて73,080,363bpから73,122,173bpまでの、合計4万1,811対の塩基が集まってできている事が分かります。
ウィリアムズ症候群は、この[ELN]エラスチン遺伝子を含めた、このあたり一体が欠失しています。
これだけたくさんの塩基対がからまっているのですから、同じウィリアムズ症候群の人でも、実際の塩基対の欠失の範囲は様々です。
ウィリアムズ症候群の診断にエラスチン遺伝子をつかって検査をしますが、決してエラスチン遺伝子だけが欠失しているのではなく、エラスチン遺伝子を含む部分が欠失しているのが実際の姿です。

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