いきること vol.4
エビフライ
「悠はは」はうどん屋で働いている。
そんなわけで、僕の仕事が休みの時は子守りをしているのである。
こどもと一緒に遊ぶのは楽しい。
問題は、おひるごはんだ。
だいたいは冷蔵庫のあまりもので、パッパとすませてしまうが、
「めんどくせぇや」という時には、「はは」のいるうどん屋へこどもたちを連れて行く。
うどん屋の店員さんは、みんな親切だ。
ならんで待っていると、メニュー表をもってきてくれる。
「さて、なにがいい?」
と悠くんにたずねると、
「エッフライ(エビフライ)うどん」
と言いながら、天ざるを指差す。
どうやら「エビ天」と「エビフライ」の区別がついていないらしい。
次男坊は、知ってか知らでか、いちばん値段が高い「スペシャル」を注文。
「うーむ、財布の中を考えると・・・この作戦で」
と、こどもたちが、ある程度残すことを見込んで、僕はおにぎりを選んで皿にのせる。
ちなみに中四国地方では、うどん屋といえば「セルフサービス」が多い。
さぁ、「いただきます」と食べる。
やれこぼすな、よそ見をするな、とセワシイ食事をしながら、
「これは、エビ天というんだぞ」
と、何度も教える。
これくらい、覚えてもらわないと、ちょっと恥ずかしいぞ。
さて、大喜びでうどんを食べる、こどもたちの食欲にビックリ。
次男の礼くんは、3分の2以上は食べるし、悠くんにいたっては完食。
大満足のこどもたちと、すこしもの足りない父は店を去る。
「うまかったかぁ?」
と聞いて返ってきた答えは、
「エッフライ、おいしかったねぇ」
・・・療育とは、根気くらべだと、つくづく思った。
療育発表会
悠くんは「知的障害児通園施設」へ通っている。
「就学前の知的障害児が通園する施設」なのだ。
なんだか漢字ばっかりでムズカシイところへ行っているようだが、
要するに「知的障害児のための幼稚園」の様なところなのです。
児童相談所の「措置」扱いで入園したのだが、
現在は「障害者自立支援法」によるサービス利用となっている。
金銭的な問題は色々あるが、少々高いお金を支払ってでも、
通園する価値は十分にあるし、通園して良かったと思う。
「養護学校の幼稚部」と言っていいぐらい、専門性が高い。
さて、今日はそこの「療育発表会」の日だった。
1年間の成長ぶりを見せてもらえる「学芸会」のような会なのだ。
歌を歌ったり、踊ったり、様々な日常生活のスキルを織りまぜた催しを企画してくれている。
悠くんは朝から大興奮。
今日のために、1ヶ月ちかく日々の療育を通して練習してきたのだ。
やる気じゅうぶん、テンションは2次関数のグラフ並みに上がっている。
発表会の数日前から
「れんしゅう、するよ」
と時々うれしそうにしゃべっていたし、家でも歌を口ずさんでいた。
「本番だねぇ、今日は」
なんて話をしながら、朝送り出し、親と弟は後から会場へ。
ハプニングもあったけど、無事終了。
すべての能力と、ウィリーちゃんらしさを、しっかり発揮できました。
親バカながら、「うちの子はすごいなぁ」と拍手を送る。
演技後、トイレに連れて行って、すっきりした悠くん、
「れんしゅう、がんばったよー!」
と、満面の笑顔で報告してくれました。
「おい、おい、今日は本番じゃん」と思ったけれど、
悠くんが充実しているならまぁいいか、とも思い直す。
それとも、また別の日に本番してくれるのかなぁ?


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