いきること

いきること vol.2

鼓動を手のひらで感じてみる

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 仕事が終わって家に帰ると、悠くんと礼くん(弟)が順番に出迎えてくれる。

「だっこってー」(だっこして)と甘えてくるので、「よしよし」と、

悠くんをひざの上に抱いて、手のひらを胸にあててみた。

服の上からわずかに、心臓の鼓動を感じることができる。

トク トク トク

・・・と、悠くんの体内で動いている心臓の振動が、よくわかるのだ。

何でもないようなこの振動が、なぜか手のひらに刺さるような気がする。

悠くんの心臓の弁がひらき、大動脈の中を血液がながれる瞬間をイメージしてしまうのだ。

左心室から絞り出すように送り出された血液が、くびれた大動脈を通過する。

トク トク トク

と動くたびに、それが繰り返されるんだと、改めて思う。

目に見えない負担が、絶えず繰り返されているんだなぁ・・・って。

まったく手が出せないことに少し、はがゆさを覚える。

「ちちんぷいぷい」といって絆創膏を貼るように、治ればいいのにね。

ただ、手のひらを胸にあてて、その振動をともに感じることが、

何かの奇跡につながると信じて、今日も抱っこするのだ。

ボタンと指

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悠くんは、もうすぐ小学生だけど服のボタンは、まだちょっとニガテ。

ボタンをかける順番を違えたり、穴を見失ったり。

特に、いちばん上の襟元のかたいボタンは、ムズカシイのだ。

しばらく自分で頑張ってみるけど、思いどおりにならないと、

「てっだてよぉ〜、ぉ、ぉ、ぉ」

と、甘え泣き作戦にでる。

『むむむ、その手にはのらんぞぉ』と

「がんばってみ」と、そっけなく返事をしてみる。

これが長期戦になると、悠くんは「もうだめだぁー」と、倒れて泣いてしまうのだ。

その前に、療育モードで応援である。


   1. 右手の指でボタンを握らせる
   2. 左手の指で穴を確認させる。
   3. ちょっとだけ手を添えて、ボタンを穴に通してやる。



すこしくらいかたいボタンでも、なぜかできてしまう。

そして・・・大げさにほめて、ほめて、ほめちぎる

そうなるとウィリーちゃんモード全開の悠くんは、

「やったー! やったー! やったね」

と何度も言いながら、弟や「はは」に次々と知らせてまわる。

ささいなコトの達成に、すごく時間がかかる。

でも、こんなに大袈裟によろこんでくれるのは、けっこううれしい。

ちち親がお調子者だからなのか、悠くんがウィリーちゃんだからなのか?

それは、永遠のナゾなんだってば。